『ロヒンギャ危機―「民族浄化」の真相』
現在20代の社会科教員です。本日よりブログを始めました。
私は読書が苦手です。なので、ざっくりとした文章で「内容を忘れないように」「正しく解釈するために」「年に何冊読んだという励みのために」書いていこうと思います。時には教員として働くうちに残しておきたいことを書いていきたいと思います。まだまだ知識も浅いので、コメントなどで「ここ間違っているよ」や「こういう解釈が良いのではないか」などを教えてくれると嬉しいです。
1.整理しておきたい知識
<ミャンマーの対立の構図>
①ビルマ人:ミャンマーの人口の多くを占める。上座部仏教を信仰
②ラカイン人:ラカインに住む少数民族。上座部仏教を信仰
③ロヒンギャ:ラカイン出身のムスリム(イスラム教徒)。
→基本的には、この三者が三者とも争っている構図となっている。
<インド周辺の複雑な宗教の分布>
インドはイギリスの植民地であったが、植民地時代は現在のインド(ヒンドゥー)・パキスタン(イスラム)・バングラデシュ(イスラム)・ミャンマーが「英領インド帝国」となっていた。そこで、独立を果たすときに宗教ごとに分離・独立したが、国境線と宗教分布が一致するわけもなく争いが起こる(カシミール紛争もその1つ)。要するに、ムスリムはバングラデシュとミャンマーにまたがって生活をしており、ロヒンギャはバングラデシュとの国境にあるラカイン州に住んでいるムスリムである。
2.ミャンマーでの対立の理由
<ロヒンギャの置かれている状況>
・政府
ミャンマーは独立後、脆弱な政治体制であったので、国家権力を集中させる必要があった。政府はイスラム教を信仰するロヒンギャには国籍を認めなかった(一部は賄賂を渡して認められた者もいた)し、「ロヒンギャ」という名前も認めなかった。
→ミャンマー政府はその理由は「バングラデシュからの不法入国者(ベンガリー)」だとしている一方で、バングラデシュ政府は「ミャンマー国民だ」と主張している。
・ビルマ人
ミャンマー国民の間では、インドなどから来た移民に対して経済的な不公平感から不満を持っている人もいる。ロヒンギャに対しては、ビルマ人の女を妻にして、高い出生率を保ちながら人口を増やし、ビルマ人の生活を脅かそうとしているという考えも、ミャンマー国民の間で広まっている。
→仏教ナショナリズムの進展
・ロヒンギャ
ロヒンギャたちの生活はとても苦しく、2000年代にはブローカーたちにお金を払ってタイやマレーシアに命懸けで逃れていった。代金を支払えなかった者は、そのまま行き倒れするか、仮に渡航できたとしても強制送還されることもあり、生活は保障されていなかった。ARSA(アラカン・ロヒンギャ救世軍)が武装して警察や国軍の施設を攻撃するようになる。
3.国軍やスーチーの対応
<国軍による掃討作戦の経過>
①2017年8月25日にARSAの警察施設と国軍の駐屯地を襲撃
②国軍によるARSAや住民への攻撃
③国軍の作戦終了後のラカイン人によるロヒンギャ襲撃
→ラカイン北部の村が焼き払われ、多くの住民(正確な数値は調査できないほど混乱している)が死亡・難民となっている。②と③がジェノサイドではないのか?
<スーチーの国家運営の困難さ>
ミャンマーでは、憲法を改正するために議会の4分の3の賛成が必要だが、議会の4分の1は軍人が占めることになっている。そのため、ノーベル平和賞を受賞したスーチーが、それに見合った民主的かつ平和的な政策を推し進めることが難しい。国軍以外にも仏教ナショナリストからの圧力もロヒンギャへの対応を難しくしている。
しかし、スーチーもロヒンギャのことを「彼らはバングラデシュ人よ」とキャメロン元首相の回顧録で書かれていて、これがミャンマー国民の共通の「誤解」である。
4.これからの日本や国際社会の対応
理想の対応は、①難民の帰還・国籍付与、②和解の推進、③少数民族の経済的支援が挙げられるが、現実的には難しい。「正論」をミャンマー政府に突きつければ突きつけるほど、実現に向けた動きが膠着状態に陥る可能性が高い。
しかし、国際社会のミャンマーへの期待は高く、年6%は経済成長している「アジア最後のフロンティア」である。
5.感想
ロヒンギャもそうだが、多くの人権問題に対して人々は無関心であると痛感した。口では「許せない」「無くさないといけない」と言っておきながらその国の内部の問題には無関心だと思う。しかも、正論を吐き捨てるだけでは、かえって矛盾を生んでしまうこともある。現実としっかり向き合いながら問題解決しなければならないと感じた。今、私たちが享受できている人権は、国の豊かさに守られている。
私としては難しい本でした。まとめるのが難しい・・・ここで練習して、要点を抽出できるようにしていきたい。